virtu' (ヴィルトゥ)というズッパ(スープ)のことを知ったのは、昨年の春、
おもにオリーブオイルの輸入をてがけていらしてイタリアに精通していらっしゃるお客様とのおはなしからでした。
中部イタリアの、アスコリピチェーノという町に伝わる郷土料理。
何十もの食材が一皿に込められた滋味深いズッパを、5月のアスコリのトラットリアで食べたことがあると。なるほど、考えてみたら、この時季の数週間は、フレッシュな豆と、乾燥の豆が同時に楽しめる貴重な期間なのです。
そしてそこへ春野菜だけでなく、さまざまな山菜もハーブも加えて一皿にしてしまうだなんて!
興奮して、イタリアの厨房へ気持ちが飛びました。
郷土料理の本を読み、入手できるかぎりの春の食材を使って、早速つくってみました。
そして、このスープは毎年つくるべきものだと感じました。
昨年渡伊したときに、願わくばそのトラットリアへ行ってみたいと思いましたが、
残念ながら、すでにそのお店はなくなってしまっていました。
まぼろしのスープ、virtu'。
今年もこの時季がめぐってきました。まるでお正月を迎えるかのように、食材を手配。
山菜はさまざまなものが順番に登場するので、地域の移り変わりを観察しながら収集。
日頃お世話になっている高知の無農薬農家さんの多大なご協力もいただき、
この時季に出会う食材たちの緑を何十にも重ねた一皿をご用意することができました。
もし、まだメニューにありましたら、ぜひご注文ください。
身体じゅうに、春の気が巡ります。赤ワインとどうぞ。
virtu'(ヴィルトゥ) 2018 に込めた食材(すべて無農薬)
新玉ねぎ にんにく 葉にんにく ケールの菜花 ルーコラ ルーコラの根っこ
香菜 香菜の根っこ 香菜の花 イタリアンパセリ イタリアンパセリの根っこ
ミント レモンバーム バジル えんどう豆 スナップエンドウ さやいんげん
さやえんどう 白花豆 さくら豆 ふきのとう たらの芽 わらび うるい
こしあぶら 自生クレソン 山うどの葉 春菊 カーボロネーロ 三つ葉 あまどころ
春キャベツ 野蕗 ふき ふきの葉 野かんぞう 行者にんにく
のとしし(猪肉)の自家製パンチェッタ
(*食材は、日により入れ替わりがあります。)