山からおいしい山菜が届いています。
この春、おかげさまで丸十年を迎えることができました。
これまでの日々を支えてくださったみなさまに、心よりお礼申し上げます。
ありがとうございます。
まずは十年と、この日を目指してきましたが、経ってしまえば通過点で、まだまだ始まったばかり、
やっとスタートラインに立てたような気持ちです。
これまでの毎日のメニューを保存してあり、重ねて厚さにして1メートルくらいになりました。
月日の積み重ねの中で、どれだけみなさんに牽引していただいて、勉強させていただいたかの記録であり、日記です。
この際に紐解いてみようかとも思いましたが、もうすこし積み上げてから、振り返るのは
老後の楽しみにしたいと思っています。
どんな料理をつくりたいか、どんな店にしたいかを、日々考えてまいりました。
ばくぜんとイタリア料理の基本を探求していたものが、今ははっきりとしたものになりました。
形ではなく、目新しさでもなく、なにか、身体にはもちろんのこと、心や五感に滋養としてしみわたるもの、季節や人に馴染むもの、をお皿にのせたい。
そして、ああよかったと、ちいさく感じてもらえたらいいなあと。
毎日パンを育てて焼き、記憶の中のイタリアと重ね合わせながら、この季節今日の滋味はどんな食材が生み出してくれるだろうと、食材を探したり考えたりするのはとても楽しい幸せな時間です。
そして、美味しいイタリア各地のワインを選りすぐって、みなさんによろこんでいただきたい。
お客さま方々を思い描きながら、あたたかい一夜一夜が、また一夜とつながっていきますように。
この気持ちは、あと十年歩いても変わらないでしょう。
これからもゆっくりと、追いかけていきたいこと、探求していきたいことを失わずに、
そして、一日ひとつの美味しい発見があることを目標にしてまいりたいと思っています。
末長いおつきあいを、どうぞよろしくおねがいいたします。
2017年3月25日
ともすけと、ひらせ